好きな子に電話をかける理由なんて必要ないのだ
電話が苦手な男子って結構多いんだよな。ケータイ電話が流行して、さらにメールが主流になった今。活字でのコミュニケーションに慣れちゃって、肉声をぶつけあう電話に抵抗があるんだろうな。俺はちょうど「ポケベル」なんていう、過去の遺産にもちょっと触れていた世代だったから、まだ救われているところはあるかな。好きな女の子ができたら「あー、電話で話してぇ」って思うからさ。でも、今の男子は違うな。
「あの、電話って何を話せばいいんですか?」そんなことを聞いてくるから困ってしまう。「そんなの話してみないとわからないだろ。言葉のキャッチボールなんだからさ。でも、それが楽しいわけ。予想外の展開になったりするからさ」「でも、メールのほうがよくないですか?」「好きな女の子ができたら、いろいろなものを共有したいわけだろ?」「ええ、まぁ」「電話だったら、離れていても時間を共有できるんだぞ?」自分でもキザな台詞だったなぁ、と思うのだが、目の前の彼は納得していた。
「なるほど。メールだったら何かをしてても打てますしね」「そうそう。電話はちょっとそういうわけにはいかないしな」「でも、ですよ?好きな子だからこそ何を話していいかわからないんですけど」俺はその台詞に呆れてしまう。「だから何でもいいんだって」「いや、でも、沈黙になっちゃったりつまんない話題を選んじゃったりしたら嫌われちゃうじゃないですか?」「だから、それをそうならないように軌道修正しろって」彼は困った顔をする。困っているのは俺のほうだ。きっと、メールだと話の展開が読みやすいんだろうな。
「好きな映画の質問をして、うん、そうすると好きな映画の答えが返ってくる。自分の好きな映画はどうしようかな。うーん、あ、先月見に行った洋画にしよう」こんな風に話の筋を先読みできるもんな。しかし、そんな台本通りの展開なんてつまんない。それこそ「いや、別に用事はないんだけど、声が聞きたくてさ」こんな風に素直に答えたっていいだろう。そこから予想外の展開が続くかもしれない。失敗をおそれずにどんどん電話を活用しよう。